2025年05月11日

No.4738非営利組織の経営T#5リーダーであるということp53L6【廃棄が、組織を空腹にし、スリムにし、新しいことをできるようにするための鍵であるA】P.F.ドラッカーブログ投稿数世界一 4,738日目(2025年5月11日)Re:感謝‼

(前回続き)

現代ビジネスにおける「廃棄」と「集中」の実践例
・Microsoftの復活: サティア・ナデラCEOは就任後、かつて注力していたモバイルOS事業(Windows Phone)などから事実上撤退し、「モバイルファースト、クラウドファースト」戦略を鮮明に打ち出しました。経営資源をクラウドサービス「Azure」や「Office 365」に集中投下した結果、同社は再び力強い成長軌道に乗りました。これは、過去の資産に見切りをつけ、未来への「集中」を選んだ「廃棄」の成功例です。
・AppleのV字回復: 1997年にAppleに復帰したスティーブ・ジョブズは、当時乱立していた製品ラインナップを大胆に整理・「廃棄」し、iMacのような革新的なコア製品に開発リソースを「集中」させました。この「選択と集中」が、その後のiPod、iPhone、iPadといった大ヒット製品を生み出す基盤となったのです。
・日立製作所の事業構造改革: 同社は「選択と集中」の掛け声のもと、祖業の一つであった家電事業や半導体事業などを売却・切り離し(廃棄)、成長分野である社会イノベーション事業(IT、エネルギー、インダストリーなど)に経営資源を「集中」させる戦略を進めてきました。これにより、デジタルソリューション「Lumada」を核とした高収益企業へと変貌を遂げつつあります。
一方で、過去の成功体験や社内のしがらみから不採算事業の「廃棄」に踏み切れず、リソースが分散し、成長の機会を逃している企業も少なくありません。

「廃棄」は未来への投資
ドラッカーが言うように、「廃棄」は単なるコスト削減やリストラではありません。それは、組織を「空腹」にし、新しい挑戦への意欲をかき立て、組織を「スリム」にし、変化に俊敏に対応できる体質を作るための、最も重要な戦略なのです。

「廃棄」によって、これまで非生産的な活動に費やされていた貴重なリソース(人材、資金、時間、そして経営陣の注意力)が解放されます。そして、その解放されたリソースを、本当に重要で、将来性のある領域に「集中」させることができる。これが、組織が持続的に成長し、卓越した成果を上げ続けるための秘訣です。

結論として、現代のリーダーに求められるのは、「何を新しく始めるか」を考える前に、「まず、何をやめるか」を体系的に問い、決断する勇気です。「廃棄」というプロセスを通じて組織の新陳代謝を促し、未来への成長に向けたリソースを確保すること。これこそが、変化の時代を勝ち抜くための、賢明かつ不可欠な戦略と言えるでしょう。
posted by 剛 at 06:27| Comment(0) | ドラッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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