2025年05月14日

No.4741非営利組織の経営T#5リーダーであるということp54F1【リーダーたる者が次に行うべきことは、優先順位を考えることである@】P.F.ドラッカーブログ投稿数世界一 4,741日目(2025年5月14日)Re:感謝‼

成果を生むリーダーの決断:「捨てる」ことから始める「劣後順位」思考

リーダーに課せられた最も重要な責務の一つは、組織として「成果」をあげることです。そのために、リーダーは組織のミッションを深く理解し、目標達成のために「何をすべきか」を考え、具体的な行動計画を策定します。

しかし、どんな組織であっても、使える資源(ヒト・モノ・カネ・時間)は限られています。全ての有望そうな機会に資源を投じることは不可能です。もしそうしようとすれば、資源は薄く広く分散し、結局どれも中途半端な結果に終わり、大きな成果を期待することはできません。したがって、リーダーは限られた資源をどこに「集中」させるか、という戦略的な意思決定を行わなければなりません。

この意思決定には、しばしば大きな困難と心理的な抵抗が伴います。なぜなら、何かを優先するということは、同時に他の何かを後回しにする、あるいは完全に「捨てる」ことを意味するからです。「決断」という言葉が示す通り、それは他の多くの魅力的な可能性を「断つ」ことを決める行為なのです。「もし、捨てた選択肢の方に大きな成功のチャンスがあったらどうしよう…」――そう考えると、なかなか決断を下せなくなるのも無理はありません。

しかし、資源を集中しなければ成果は望めません。このジレンマに対し、経営学の大家ピーター・ドラッカーは「劣後順位(Posteriority)」という、非常に実践的な考え方を提示しています。

これは、一般的に行われる「優先順位(Priority)」、つまり「何が最も重要か」「何を残すべきか」から決めるアプローチとは逆の発想です。「劣後順位」では、「何をやめるべきか」「何を残さなくてもよいか」から先に決めていくのです。

例えば、以下のような問いから始めます。
・「この活動は、もはや期待された成果を生んでいないのではないか?」
・「このプロジェクトは、現在の戦略目標達成への貢献度が低いのではないか?」
・「この業務は、他の方法で代替できる、あるいは完全にやめても大きな支障はないのではないか?」
このように、「捨てる候補」を特定し、リストから外していく作業を体系的に行うのです。そして、このプロセスを経て、最後に残ったものが、本当に守るべき、資源を集中すべき重要な活動である、と考えます。

「優先順位」も「劣後順位」も、結果的に残すものとやめるものを決める点では同じように思えるかもしれません。しかし、実際に試してみると、その思考プロセスは大きく異なります。「何が重要か?」と問われると、あれもこれも重要に見えてしまいがちですが、「何をやめてもよいか?」という問いから入ることで、より冷静かつ客観的に、過去の惰性やしがらみにとらわれずに判断しやすくなる場合があります。

(次号へ続く)
posted by 剛 at 05:58| Comment(0) | ドラッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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